佐賀錦八重がさね花車に宝尽くし文様

古式ゆかしい十二単を思わせる八重がさねの打掛。赤と金糸で織上げた佐賀錦の曙色に手刺繍で大輪の牡丹の花車に菊と秋草を散らし、全体に蝶や宝つくしの柄を配した吉祥文様の打掛です。佐賀錦は日本の伝統技術の一つで、金銀、漆を貼った和紙を細かく裁断したものを経糸とし、絹の撚糸を染織した物を緯糸として丹念に織上げた贅沢な織物です。非常に根気のいる手仕事で精緻な技術を要する為、1日に僅しか織ることが出来ません。その歴史は1810年、現在の佐賀県、肥前鹿島の藩主鍋島家の奥方が網代組みの天井を見て織物にする事を発案したと伝わっています。明治初期に一時中断されましたが、明治40年代に『佐賀錦」と改称され、絢爛豪華で気品のある優雅な織物として今日まで継承されてきました。宝尽しは中国か入ってきた文様です。如意宝珠・打ち出の小槌・隠れ蓑・丁子・宝輪・宝剣・金嚢・鍵・祇園守等人間の願望や理想を描いた様です。