黒地金彩加工貝螺鈿地紙に
         菊と群鶴文様

黒地に貝螺鈿と幾重にも重ねた金彩加工の見事な金彩工芸作家秋山章の職人技が光る昭和30年後半の打掛です。高級な純白の駒塩瀬を重厚な黒に染め上げた逸品。はこれ以上色は変わることが無いことから花嫁が貴方に添い遂げる気持ちに変わりは有りませんという意志の固さと覚悟を表すと言われています。
菊の文様について
菊の文様は正倉院宝物の中にも見られますが、多くも用いるられる様になったのは平安時代だそうです。皇室の紋章として定着したのは鎌倉時代に後鳥羽上皇が好んで用いた事に始まるそうです。天皇家は16花弁の八重菊、宮家は14花弁の裏菊。菊は花が清雅であるばかりでなく長い期間咲き続けるところから延命の植物として好まれました。一期一会で有名な茶人千利休は客のために今日生けたのか、以前より生けて有ったのか分からない為に菊を使うのを嫌ったと言われるほど生命力の強さを表わします。