総手刺繍青海波に秋の花車文様

あの豪華絢爛な色の重なり十二単を思わせる古典的な打掛。余すところなく手刺繍で埋め尽くされた気の遠くなるような職人技が光る打掛です。秋の七草、萩、尾花、葛花、撫子の花、女郎花、藤袴、朝顔(桔梗)が咲き乱れ秋の風情を感じさせます。青海波文様も金糸、ベージュ、カーキ、臙脂、茶など深みのあるしっとりした色使いで20色もの色糸で手刺繍された贅沢な逸品。花車文様は花で飾った御所車や御所車の車輪だけに花をあしらったものがあります。いずれも華麗な古典柄として人気があります。御所車は平安時代から鎌倉時代にかけて皇族や貴族たちが用いた乗用車と言えます。牛車は盛んに使われる様になると、華麗な装飾を付けるようになり、風流を競いました。青海波は波文の一種で、同心円を互い違いに重ね、同心円の一部がお扇形状に重なり合った文様です。陶器や蒔絵、舞楽装束や能装束、小袖などに用いられています。