金糸裾常盤色暈し鏡裏菊取文様

金糸をふんだんに織り込んで裾を常盤の緑から鶯・琥珀・樺・猩猩緋と華やかな暈し織りの打掛です。肩から背中にかけて大胆な美しい鏡裏に彩色で四季の花をあしらい金糸で七宝繋ぎや亀甲花菱で立体感を出し,豊かな実りの温かい色取りの中に金糸の雲に四季の花車を配し,裾の常盤の緑地に笠松を配し絢爛豪華な打掛です。花車の華やかさが王朝時代の雅な趣を感じさせます。鏡裏はかがみうらともいいます。鏡は古く中国から伝わり神秘的な力をもつものとされてきました。正倉院には,裏を金、銀、螺鈿で飾った華麗な鏡が残されています。こうした古い鏡の形と図柄を文様化したり,中に草花文をいれて,礼装や帯や着物等に用います。この打掛の鏡裏は鏡の縁を格調高い菊の花びら文様にアレンジしたオリジナルの様です。七宝は元は仏典にある語七種の宝の事で金・銀・瑠璃・玻璃・珊瑚・瑪瑙・真珠の貴重な宝を指し,七宝を構成する円は円満の吉祥文。