唐織金地牡丹花車と流水に白鷺と
       尾長鳥文様(宝松寿)

上品な金地に牡丹花車と能の演目「鷺」や歌舞伎舞踊の「鷺娘」に見られる鷺を織りあげた格調高い唐織ならではの文様です。唐織は古来中国より渡来した手織の技術が西陣で日本の美意識の高さから独特の絢爛豪華な唐織に昇華させました。室町時代より能装束に用いられており、西陣の匠達が意匠の洗練、織り技の練磨、工夫を重ね、日本独特の織物として完成させました。工程はすべて手作業であり、織り上がるのに長い年月を要します。それぞれの工程は専門の匠達に支えられていす。白鷺は能や歌舞伎舞踊に見られる様に、鶴に似た姿形の美しい水鳥です。おもに流水や葦と取り合わせて表現されるので涼感を求める夏によく使われます。尾長鳥は尾の長い鳥の事で、鳥類学上の「尾長」だけでなく、雉や山鳥,セキレイ、かささぎ等を含み流れるような長い尾が美しく、様々に表現されてきました。胴裏は宝ずくしのジャガード織。