ピンク地裾紫暈し枝垂れ桜に
          御所車文様

打掛の裾から上に向かって紫紺から古代紫へ、淡い秋桜色へ、胸元から衿へは艶やかな牡丹色のグラディーションの西陣織。八重咲きの枝垂れ桜が肩から裾へと流れる様に咲き誇り、宮廷貴族の雅な春の桜狩りを思わせる風情に御所車が格調の高さを表わしています。美しい鴛鴦や真っ白な飛翔鶴も描かれた吉祥文様の打掛です。鴛鴦は夫婦和合の吉祥文です。仲の良い鳥で朝は寄り添い暮れには向かい合って互いに相愛し、夜は翼で抱き合って休みます。も生涯同じ鳥と添い遂げるので夫婦円満を意味し、また、亀と共に長寿の象徴です。は日本の歴史において聖徳太子が定めたとされる「冠位十二階」では最高位には紫の冠を指定し、雅な宮廷世界では高貴な色として崇められました。御所車は平安時代から鎌倉時代にかけて皇族や貴族たちが用いた乗用車と言えます。牛車は盛んに使われる様になると、華麗な装飾を付ける様になり風流を競いまた。