吉祥聚楽

黒地に裾に金箔と緑の漆箔を施し、松の緑が重厚な趣を感じさせるのに、上半身は桜や菊・撫子や桔梗などの華やかな彩りに変化しています。その四季の花々の艶やかな中に百人一首の歌を詠んだ短冊が金彩加工で描かれています。
27番みかの原 わきて流るる いづみ川 いつ見きとてか恋しかるらむ中納言兼輔
40番忍ぶれど色に出でにけれわが恋は ものや思うと 人の問うまで平兼盛
97番来ぬ人を松帆の浦の夕凪に 焼くや藻塩の身もこがれつつ
権中納言定家等の恋の歌が艶やかに詠まれています。平安時代の雅な貴族の教養を競う和歌を打掛に手描き友禅で施した珍しい打掛です。