赤地総手刺繍秋草御所解文様

金通しで織り込んだ華やかな紅赤地に秋草の咲き乱れる御所の庭を表わした優美な美しい打掛です。上品に光る金の輝きと萩やなでしこ、桔梗に紅葉が刺繍された中でひと際映える菊の花々。秋の主役としての存在感があります。御所解文様は江戸時代中期から後期にかけて上級武家や公家の婦人に用いられた風景模様の小袖意匠。流水や家屋、草花などを取り合わせて風景の様に構成し、あたかも一幅の絵を着物の中に見るような贅沢さを味わえる文様です。それを手描き友禅では無く西陣織と総手刺繍で仕上げた、総絵羽総紋丈の贅沢な打掛。庭の柴折戸、蛇籠などに金の雲取りも萩の花や桔梗と相まって優美な趣を醸し出しています。も花が清雅であるばかりでなく長い期間咲き続けるところから延命の植物として好まれました。皇室の紋章として定着したのは鎌倉時代に後鳥羽上皇が好んで用いた事に始まるそうです。