絹地市松箔に手刺繍梅に花車文様

昭和30年代の打掛。アンティークな絹の地色に金箔の市松模様が牡丹や乱菊の花車の金駒刺繍をより華やかに浮き立たせています。可憐な梅の花と艶やかな牡丹の花と雅な菊の花は温かみのある絹糸の手刺繍で優しい仕立て上がり。市松文様は正方形を縦横に並べた文様で、日本に限らず世界中で古くから用いられている文様です。市松の名は、江戸時代の歌舞伎役者、佐野川市松が衣裳の袴に用いて人気を呼んだところに由来があります。金駒刺繍は駒に巻いた金糸をその他の糸でとじつけて、線・面を表わすぬい方。刺繍の技術には、針に通した糸で模様を表わせ方法と、駒に糸を巻き、それを別の細い糸で閉じて模様を表わす方法があり、金糸のより加減は掛け過ぎると光沢が無くなり、戻し過ぎると張りが無く扱いにくい。手刺繍は糸の引き加減を調節しながら刺していくので生地に優しくふっくらと仕上がるのが特徴。どちらも根気のいる手仕事です。