茜地裾紺暈し菊に枝梅文様

茜地に肩から腰まで枝梅で埋め尽くし、裾は鉄紺から古代紫へと暈しを入れ、秋の御所解文様を思わせる枝折戸に菊花が咲き乱れている贅沢な西陣織の打掛です。春の風情と秋の風情を金の雲と蔦の葉で何気なく仕切り雅な雰囲気を醸し出しています。御所解文様の名称は明治以降に徳川期の小袖の一種として名付けられたもので、江戸時代の貴族や上流武家の女性が源氏物語の王朝文学に憧れて取りいれた事がうかがわれます。は蔓性で紅葉の美しい事から平安時代からその風情が喜ばれ、絵巻や絵画に数多く描かれています。打掛に使われているのは珍しいです。枝梅は、厳寒に耐え春に先駆けて咲く花として「君子」といわれ春を呼ぶ不老長寿の象徴として尊ばれその気位と品性が愛でられまた、五つの花弁が五福:福・禄・寿・喜・財を表し人に幸福を授けると言われています。は花が清雅な上に長く咲き続ける事から延命の象徴と言われます。